データベース論理設計を生産管理・原価管理システムの具体例から解説した、わたしの知る限りあまり類書がない本だと思います。
■目次
目次は以下のとおりです。第1部 データモデリング入門
第1章 データベースとデータモデル
第2章 エンティティ関連と正規化
第3章 システム設計に関する知識
第2部 生産管理システムのデータモデル
第1章 部品表と工程表
第2章 未来を見通す在庫システム
第3章 入出荷と製造
第4章 月次計画と原価計算)
本書の構成は、「第1部 データモデリング入門」で関数従属性や第一~第三正規形等のRDBでのデータベース論理設計を行うための基本的な知識の説明を行い、「第2部 生産管理システムのデータモデル」で、第1部の知識を使って具体的な業務においてどのように設計を行うかの具体例を解説する、という流れになっています。
■本書の特徴
この手の本では通常データベースの基本的な知識の説明がメインで、その具体例というのはオマケ程度で実際の業務の参考にはならないというパターンが多いですが、この本は違います。むしろ「第1部 データモデリング入門」はさらっとした説明にとどめ、「第2部 生産管理システムのデータモデル」の説明に重点が置かれています。ページ数で見ても第1部が70ページ程度に対して、第2部は200ページ以上のボリュームです。
生産管理業務おいて、「品目」とは何か?「部品表」とは何か?これらの業務をデータベースで表現するにはどのように設計すればよいか?、原価計算における集計と配賦に適したデータモデルは?というようなことが延々と記載されています。
■とにかくDB論理設計の詳細な具体例の解説が欲しい人にオススメ
データベース論理設計(データモデリング)の理論だけではなく実在の業務での具体例が知りたいという人にはピッタリの本だと思います。本書のタイトルに生産管理、原価管理とありますが、具体例が生産管理、原価管理システムというだけで、考え方自体は、他の業務システムのデータベース設計にも役立つと思います。